パンチラは男のロマンだ。
その思いをポイントカードにしたクラウドファンディングがあった。
冗談半分で支援したそのプロジェクトが成功を収めるとは、夢にも思わなかった。
パンチラポイントカードのプロジェクトはなぜ成功したのか。
企画者の櫻井さんから話を聞き出し、クラウドファンディング探偵マイキがその謎を解き明かす。
櫻井寛己さん
1989年生まれ東京都出身。明治大学商学部卒。
コンビニ経営をしながら、やってみたいことやってみる協会設立。
現在はイベント主催とプランニングが主な活動。
facebook: https://www.facebook.com/hiroki.sakurai.10
twitter: https://twitter.com/pirorin39
刺さる人に刺さりさえすればいい
マイキ:
今回、こんな格好でクラウドファンディング経験者に取材する企画が始まりまして。
まず頭に浮かんだのがパンチラポイントカードのプロジェクトだったので、お会いできて嬉しいです。
櫻井さん:
いえいえ、こちらこそこんなプロジェクトでいいのかと。
マイキ:
僕、パンチラポイントカードのプロジェクトをFacebookで見かけて、3分以内に支援したと思います(笑)
櫻井さん:
ありがとうございます、一番最初に支援してもらいました(笑)
マイキ:
「パンチラを見たら記録するポイントカード」というインパクトが半端なかった。
なんでしょうか、言葉を選ばず言うと、アホだなー!って笑っちゃいました。
櫻井さん:
完全にそれです、クラウドファンディングには真面目なプロジェクトも多いので、ふざけたかったんですよ。
無駄なものを作りたい欲が人一倍強くて。
マイキ:
どんな背景があって、 パンチラポイントカードを作られたのですか?
櫻井さん:
知り合いがある時、「実はこんなカード持っているんだよね」とふいに見せてくれたのが手作りのパンチラポイントカードでした。
マイキ:
それが試作品だったわけですね。
櫻井さん:
その知り合いはパンチラ見たって言うと、周りにも同じような人が多くいたらしくて。
自己申告だけど、見たって証拠をお互い見せて確かめ合うために作ったと聞きました。
マイキ:
いや、なかなか見ないと思うんですが。
櫻井さん:
ですよね。ヤバイから、じゃあ商品化しようってことで始まりました。
マイキ:
完全に、冗談から始まったわけですか。
櫻井さん:
インターネットでちょっとでも話題になればいいなっていう意味を込めて、Campfireのクラウドファンディングでスタート。
作ること自体にお金はあまり必要じゃないので、発信の意味合いが大きかったかもしれません。
マイキ:
今まで色々なプロジェクトの特典を見てきましたが、パンチラポイントカードの500円は気軽に支援しやすかったです。
これ1000円になると支援するかどうか、ちょっと疑問符がつきますが。
櫻井さん:
友達には500円でも高いと言われました。まぁ、コンセプト重視の商品なんでね。
マイキ:
たしかに、刺さる人に刺さればいい商品だと思います。
クラウドファンディングってニッチに狙いを定め、世の中にまだないけど欲しい人がいる可能性のある商品をプレゼンして、世に問うというもの。
そういう意味で、パンチラポイントカードはまさしくそれって感じですね。
櫻井さん:
中には、「気に入ったから、1万円支援したよ」っていう人もいました。
マイキ:
それは本当にその人の心に突き刺さった結果ですよね、すごいな。
他には、どういった支援者がいたのですか?
櫻井さん:
過去に一度しか会ったことのない人が支援してくれて、支援をいただいてからもう一度会いました。
「とりあえず面白いから買ったんだ、私は!」と言って、とても大事に保管してくれていたのが二十歳の女子大生でした。
マイキ:
二十歳の女子大生?!
櫻井さん:
女性に支援してもらえたのが意外でした。どちらかというと、女性から怒られる気持ちがあったので。
Twitter見ても、「気持ち悪い」「こんなの支援しないよね」「炎上しろ」みたいな声が上がっていました。
一方、「面白い」っていう意見もあったので、否定的な意見は気にしないようにしていました。
マイキ:
アイデアを公開して、言いたいことを言うと、どうしても批判してくる人は出てきますよね。
クラウドファンディングでは、批判する人に対して、応援してくれる人が反論するという構図がよく見られます。その盛り上がりを楽しむのもクラウドファンディングなのかなと。
パンチラはアートだ
マイキ:
アイデアを公開していたプロジェクトページはシンプルさを追求している印象を受けました。これは櫻井さんが作られたんですか?
櫻井さん:
はい。本文はほぼ画像で、パンチラっぽい内容にしました。
マイキ:
難しいですよね、パンチラっぽいのって。見る人を不快にさせたらダメだと思うので。
櫻井さん:
春の訪れで、風が吹いている描写も入れたかったのですが、結局できませんでした。
マイキ:
でも、全体的に見せ方は絶妙ですよね。もろ下ネタっていうわけではなく、そこにロマンを感じさせるような。
パンチラは「ふとした瞬間にしか出会えない奇跡」「オーロラとか虹の類と同じ」と書かれていましたが、それらのキャッチーな言葉はどうやって生まれたのですか?
櫻井さん:
作った方と僕ともう一人のメンバーで「パンチラってどう思う?」と議論をしました。
作った方は嗅覚があるのか、パンチラを見る機会が多いんです。どういうわけかもう一人は全然見れないんです。
「どういうシーンで見たの?教えて教えて」とパンチラのことについて話しました。
マイキ:
な、なるほど。
櫻井さん:
美しいものだから、痴漢やノゾキは絶対だめだよね、というのが3人の共通認識でした。最終的に「アートだ」とか「オーロラと同じじゃない?」に行き着きました。
マイキ:
妄想をかきたてられるようにですね。プロジェクトページでも直接的な表現を使っていませんでしたね。
櫻井さん:
実際に見えている写真を使うと「チラ」でもないですし。パンチラポイントカードは、お守りとして持ってもいいし、使い方はその人次第なので妄想をかきたててかきたてて。
マイキ:
僕もお守りみたいに、財布の中に入れてます。ただ、2ヶ月経ってもスタンプが1つもたまっていません…。どうしたらいいんでしょう?
櫻井さん:
意識を集中したら、意外と見れるはずです。パンチラ意識ですね、「この人見れる」ってわかってきます。
好きなようにやれるのがクラウドファンディングの魅力
マイキ:
あと、個人的には他の人たちのパンチラ体験を知りたいと思っていました。
櫻井さん:
他の人のですか?
マイキ:
支援した人でも、支援していない人でもどちらでもよかったのですが、プロジェクト中に他の人のパンチラ体験談が知れると更に盛り上がったんじゃないかなと。
櫻井さん:
他の人のパンチラの話を聞いても面白いのか?!と思っちゃってて。パンチラってわりと一人で見て楽しむものじゃないですか。
マイキ:
クラウドファンディングは、コミュニティが大事って言われています。
ファン同士がコミュニケーションを交わすことで、商品への思い入れが高まったり、目標達成のために協力したり。パンチラポイントカードもそういうやり方が一つあったと感じました。
櫻井さん:
なるほどなるほど。
マイキ:
実際、僕は支援した立場として、他の人のパンチラ話に興味がありました。逆に、女性もそれを読んで、こんなシーンでは気をつけようという防止に役立ったかもしれません。
櫻井さん:
たしかに。ただパンチラが撲滅したら、それはそれで困るんですけどね(笑)
マイキ:
色々とお話が聞けたので、最後にクラウドファンディングを考えている人たちに一言お願いできますか?
櫻井さん:
有名人でなくても、声をあげることができるというのは、クラウドファンディングの良さです。
とりあえず世間に出さないと、何も始まらないと思います。その行動する一歩として、クラウドファンディングを使ってみてください。
全然遊びでもいいですし、真面目でもかまいません。なんでもやっていいのがクラウドファンディングの魅力です。
こんな下らないことでもやっていいんだぞ!って伝えたいですね。
謎を解き明かす
自分たち自身が心から「面白い!」と思えるものに対して、面白いと思ってくれる人は必ずどこかにいる。
もちろん、そこには抑えられない情熱がなくてはいけない。パンチラポイントカードの彼からヒシヒシ感じたものだ。
思いついたアイデアに響いてくれる人がいるはずだから、あとはクラウドファンディングを使って世に問うだけ。