目標金額を達成したプロジェクトの成功要因はさまざまありますが、今回はサポーターに提供する「特典」における成功のポイントを2つご紹介します。

1.プロジェクトの特典の設計【金額編】
2.プロジェクトの特典の設計【内容編】

1.プロジェクトの特典の設計(金額編)

プロジェクトを準備するにあたって、皆さんつい画像や動画、本文の内容に注力してしまいがちですが、意外と見落としがちなのが、支援してくれたサポーターにお返しする「リワード(特典)」です。

クラウドファンディングでは、プロジェクトオーナーが特典の内容と金額を事前に設定した上で、サポーターに支援を募ります。サポーターは複数ある特典からいずれかを選んで支援をするのが一般的です。

サポーターによって、「高い」「安い」の感覚や、支援しやすい金額は違います。
そのため、特典にも松竹梅をつけて、いろいろなバリエーションを準備しておくと、より多くの方に支援してもらえるチャンスが増えることになります。「バランス」のとれた特典の金額設定がとても大切です。

以下のプロジェクを例に見てみましょう。

筋電義手handiii(ハンディ)をまず二人の協力者に届けたい!

3Dプリンタを活用して従来品より大幅なコストダウンを実現した筋電義手「handiii」の実用化に向けたプロジェクトです。
計280人のサポーターから、350万円以上の資金が集まりました。

今回彼らが準備していた特典は以下の通り(抜粋)

・500円 展示用handiiiにお名前印字
・1,000円 ステッカー3種類
・3,500円 Tシャツ
・8,000円 報告会招待券+Tシャツセット
・15,000円 handiii手模型+ステッカーセット
・100,000円 プロセスブック+展示用handiiiにロゴ印字
・500,000円 試作品+完成品+プロセスブック+ロゴ印字

義手は誰もが使用するプロダクトではなく、さらに模型や試作品などの特典は比較的高価になるため、支援のハードルは高くなります。それでも、「彼らの活動は素晴らしいのでぜひ応援したい」というサポーターが多く集まりました。

そんなサポーターがどの特典を支援したかというと、お名前印字やステッカー、Tシャツ等の1万円未満の特典。
結果、全体の7割にあたる196人のサポーターがこれらの特典を支援しました。

多くのサポーターが集まれば、その数に比例して活動も拡散されていきます。
「handiii(ハンディ)」も多くの方が関わったことで話題となり、たくさんのメディアに取り上げられ、各所で評価を受けていらっしゃいます。
あまり特典を絞らず、なるべく多くの方に支援してもらえるプランの設計が成功の秘訣です。

2.プロジェクトの特典の設計【内容編】

ここでも例を挙げていきたいと思います。

新潟のワイナリー・フェルミエが新しく挑戦するピノ・ノワールのワイン造り

脱サラをして新潟にワイナリーを立ち上げたプロジェクトオーナーが、「将来ワインを造るのでぶどうの苗オーナーになってください(=5年後にできるワインを買ってください)」というプロジェクトを立ち上げました。

いくらワインが好きな人でも、飲んだことも聞いたこともないブランドに20,000円、40,000円を出すのは少し勇気が必要です。

でも、「あなたも一緒にこのワイン作りに携わりませんか?」と言われたらどうでしょうか。

このプロジェクトには「苗を植えるイベント(フルコース付き)」に参加できる特典がありました。
ワインづくりの最初の一歩となる苗植えイベントに参加した後、併設するレストランでワインの試飲も可能な特典です。

クラウドファンディングの醍醐味は「プロジェクトオーナーとサポーターが一緒になってアイデアを実現する」ところにあります。
プロジェクトオーナーだけでなく、サポーターもその一体感で得られるワクワク感を期待しています。

この事例のように、「モノ」だけでなく「コト(体験)」も提供することで、サポーターが「自分ごと」としてプロジェクトに愛着をもって関わってくれるようになります。

まとめ

1.特典は金額に「松竹梅」のバリエーションをつけて、
より多くの方に支援してもらえるよう工夫を!

2.「モノ」だけでなく、サポーターとのコミュニケーションを意識した
「コト(体験など)」の特典も検討してみましょう!

クラウドファンディングはネットショップではありません。
商品を出したら終わりではなく、サポーターとのコミュニケーションという観点で特典を検討してみてください。
きっとプロジェクトが成功して企画を実行するときには、あなたの周りにたくさんのファンや仲間が増えていることでしょう!