カメラが収納できて、普段使いもできる飽きのこないバッグ

ユリシーズが仕掛ける、高機能でカジュアルなメッセンジャー型カメラバッグ

主にデジタルカメラ用の本革ケースやストラップなどを扱うカメラ用品メーカー「ULYSSES(ユリシーズ)」代表の魚住さん。かねてからカジュアルで高機能な、自転車でも簡単に持ち運べるメッセンジャー型のカメラバッグを作りたいと考え、9年かけてようやく納得のいく試作品を完成させました。

650万円集めたカメラバッグ

※画像:魚住さんが個人のブログで掲載したラフデザイン。2004年にすでに構想があった。

立ちはだかった生産ロット・在庫リスクの壁

アパレル業界が海外に生産拠点を移している中、日本製の素材や技術にこだわると、機能やデザインをそのままに量産できる職人がなかなかいない。ようやく見つけた工房も、かなりの生産ロットを注文する必要がありました。中小企業のユリシーズにとって、在庫リスクはできる限り避けたい─。量産にゴーサインを出せずにいた魚住さんが出会ったのが、kibidango【きびだんご】の仕組みでした。

650万円集めたカメラバッグ

※画像:歴代のサンプル。工房が決まった後もこんなにも試行錯誤を重ねていた。

プロジェクト開始からわずか7時間で100万円を達成!

プロジェクトは2013年4月にスタート。開始からわずか7時間で目標金額100万円を達成。募集期間が終了するまでの18日間で、目標を大幅に越える650万円を超える資金が集まりました。

「チクリッシモ」プロジェクト成功のポイント

【1】魅力的な特典の設定

1.プロジェクト限りの特別価格
バッグの単価は27,500円。プロジェクト終了後はそれ以上の価格で販売する旨を記載し、このプロジェクト限りの特別価格であることをアピール。2,250円の木製リングストラップもセットにしてお買得感を出しました。
650万円集めたカメラバッグ

2.「早期優待割引」の設定
先着40個限定で、更に安い25,500円で提供。スタートダッシュがかかる仕掛けとなりました。

3.「誘い買い」してもらう仕掛け
2個セットで49,500円(1個あたり24,750円)という特典を用意。「友達と一緒に誘い合わせて買う」サポーターが複数現れました。
650万円集めたカメラバッグ

【2】自分の周りの仲間の応援

1.行く先々で、とにかくアピール!
魚住さんは、普段から試作品を持ち歩き、行く先々で試作品を見せながら商品の魅力を常にアピール。これによって、まずは自分の周りの仲間に「身近な支援者」になってもらうことに成功します。

2.SNSでもとにかくアピール!
さらに、試作品の写真をFacebookに投稿したり、実際に使っているところを動画でアップした所、「これは欲しい!」と言ってくれる仲間が沢山現れ、そこからまた拡散されてプロジェクトへの関心が集まりました。

【3】できることは何でもやる!

ユリシーズ自身がプレスへの積極的な働きかけを行い、有名なデジカメ関連のウェブサイトにリリースを取り上げられ、それによって、カメラ好きのユーザーを一気に囲い込むことができました。よりコアなユーザーが集まっているメディアへのPRも、勝因のひとつです。
650万円集めたカメラバッグ※画像:多くのコアなカメラファンを読者にもつメディアに掲載された。

【4】支援者がプロジェクトに関われる内容

1.リアルに伝わる「動画」の活用
プロジェクト紹介ページには、3分弱の動画を掲載。魚住さん自身がが想いを語り、カメラバッグに凝らされた数々の工夫がわかりやすく伝わる内容になっています。

2.商品を買ってもらうのではなく、想いに共感をしてもらう内容。
ページでは、カメラバッグの詳しい解説、開発ヒストリー、日本のモノづくりの現状が語られています。
単に商品を予約購入するのではなく、支援者は「日本のモノづくりを元気にするプロジェクト」に一枚噛む気分を味わうことができ、プロジェクトオーナーである魚住氏の理念や熱い思いに「共感」が巻き起こりました。
650万円集めたカメラバッグ※画像:どんな苦労があったか、どんな想いを持ってこのプロジェクトを挑んでいるかをリアリティある言葉で表現しており、つい応援したくなる。

これからクラウドファンディングに挑戦する方へ(魚住氏よりメッセージ)

当時、まだ「kibidang【きびだんご】」は立ち上がったばかりで、知名度は決して高くはありませんでした。でも、このプロジェクトは他の日本のクラウドファンディングサイトの事例と比べても引けを取るどころか、プロジェクト開催当時モノづくり関連のプロジェクトとしては日本では最高額の支援額を集めました。

ただし、単にプロジェクトをサイトに載せただけで成功したわけではないのは前述の通りです。活動報告を頻繁に行い、興味を持っているユーザーに対して積極的に製品の開発過程や紆余曲折を発信していくことで面白いと感じてもらえたと思います。

ものづくりをする人にとって、今はほんとうに良い時代になりました。作りたいものがはっきりと頭にあり、そのためには妥協を許さずとことん突き詰めて作っていく。そんな人にとって、クラウドファンディングは資金面、マーケティング面で大きな助けになります。ものにこだわる硬派なプロジェクトがこれからどんどん出てくると嬉しく思います。


ユリシーズが仕掛ける、高機能でカジュアルなメッセンジャー型カメラバッグ
目標金額:¥1,000,000達成金額:¥6,553,000サポーター人数:226人

650万円集めたカメラバッグ