みなさんにとって「ひとまねこざる」はどんな存在でしたか?

Photo by Spencer Platt/Getty Images

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子供の頃に一度は必ず読んだことがある絵本。それがおさるのジョージが活躍する「ひとまねこざる」シリーズなのではないでしょうか。時代と共にテレビアニメができたり、実写版ができたりと独自の進化を遂げたようですが、僕がいまだに親しみを覚えるのはH.A.レイの、あの暖かいイラストと、ひとまねこざるのジョージと黄色いぼうしのおじさんのほのぼのとしたやり取りです。

最初の本の中に、大きな街に船から降り立つおさるのジョージと黄色いぼうしのおじさんのシーンあったのを覚えておられるでしょうか?
実は作者のお二人は、たくさんの「アドベンチャー」の末にまさに同じことを体験したそうです。

おさるのジョージシリーズ第1作「ひとまねこざる」が出版されたのは1941年、第二次世界大戦が始まった年です。その前年、1940年に当時パリに住んでいたドイツ系ユダヤ人のハンズとマーガレット・レイ夫妻はナチスから逃れるために、なんと自作の自転車でパリを逃げ出します。その少ない手荷物の中にはまだ未発表の「ひとまねこざる」の原稿が入っていました。その後二人はポルトガル経由でブラジルに渡り、最終的にはニューヨークに行き着き、「ひとまねこざる」を出版。そしてシリーズはその後何十年も子供達をとりこにしてきました。

出版から何十年も経った「ひとまねこざる」。日本で生まれ育ち、日本人の母とイギリス人の父を持つ山崎さんは神戸のインターナショナルスクールを卒業後、19才で渡米し、ニューヨーク大学映画制作学部に進学。ドキュメンタリー制作に目覚めました。卒業制作 NEITHER HERE NOR THERE (故郷であり故郷にあらず) が大学、インターナショナルスクールで教材として使用され、アメリカ、フランス、タイ、日本などの学会でも採用されています。

現在はニューヨークでフィルムメーカーとして活躍されている山崎恵茉(えま)さんは、この作品の魅力と、その背景にある作者二人のユニークな人生に興味を持ち、色々と調べている中で、南ミシシッピ大学に夫妻が残したおびただしい量の資料が残されていることを知り、2014年にその資料の使用許可を取り付けます。

EmaYamazaki

山崎さんは二年がかりで行った調査と夫妻を知る人達への取材に、独自のアニメーションを加え、ドキュメンタリー映画を制作しようとしています。

そのドキュメンタリー映像を最終的に編集し、完成させるための資金を、キックスターター(Kickstarter)にて募集中です。支援した人達には完成した映像をはじめ、オリジナルグッズなど多数の特典が用意されいます。

Curious George Documentary(「ひとまねこざる」のドキュメンタリー)

非常に面白いプロジェクトだな、と思ったので、早速プロジェクト真っ最中の山崎さんに連絡を取り、話を聞いてみました。


 

そもそもどうして「ひとまねこざる」の作者のドキュメンタリー映画を撮ろうと思ったんですか?(松崎)

山崎さん: 「たまたま『ひとまねこざる』作者の記念財団理事長と知り合い、作者の二人について知る機会がありました。意外な事に作者夫妻が、ドイツ系ユダヤ人の移民で、生の声を録音で聞くと英語もなまっていたりと、かなり意外だったんです。元々昔からアメリカに住んでいたのかな、くらいにしか考えてませんでしたから。

ところが元々二人でブラジルに長い事住んでいたり、生き方そのものもかなりアドベンチャーの連続だったよう。元々パリに住んでいたのも、夫婦でパリに四週間の旅に出るつもりが、すっかりパリが気に入って気がついたら四年間になっていたり。

パリを脱出する時も、車も何もない中で、遠く離れた駅に向かうために唯一手に入れられたのが二人乗り自転車。奥さんのレイさんは現実的な人だったようで「そんな自転車でナチスから逃げられるわけないじゃない!」と。それでハンズさんはなんと1日がかりでその二人乗り自転車を改造して、一人乗り自転車を二つ作ったそうです。

そんなエピソードを知れば知るほど、作者の二人自身が、おさるのジョージや黄色い帽子のおじさんとどこか似ていて、アドベンチャー好きだったり、常に工夫して機転が利いたり、逆境に陥ってもポジティブだったりと、共通する部分があるのかなと。

そうしている中で南ミシシッピ大学に保存されている300箱の資料や、記録映像を使って良いという許可を得て、厖大な資料を見る中で、ますます二人への興味がわいていき、自分にとっては初めての長編映画を作ることにしたのです。」

– ドキュメンタリー映画の中には独自のアニメーションも挿入されるとの事ですが。

「当時のレイ夫妻が残している言葉は、『戦争はアドベンチャーの連続だったよ』とか『荷物が少なくて楽だった』など、戦争が大きな影を落としている当時の状況を考えるとちょっとありえないくらい楽観的なのですが、そうした言葉は、アーカイブとして当時の映像をだぶらせると、何か現実味がなくなってしまう。せっかく絵本の世界に生きた人達だったので、であれば彼ら自身も絵本の世界においてあげればむしろ彼らのストーリーそのものも自然になるのではないかと思いました。」

– クラウドファンディングで現在資金集めをされていますが、どういう費用が必要なのですか?

「すでに映像そのものは全て撮り終えているのですが、前述のアニメーション制作については、ストーリーラインは出来ているものの、これから実際に一枚一枚絵を起こしていく必要があり、今イラストを作ってくれている仲間に言わせると、一人だと二年くらいかかると。なので、アニメーターをたくさん雇う必要があるのです。

animation

また、アーカイブ映像を15分程度使用しようと思っているのですが、使用にあたってはかなり高額の権利料が発生するのです。その他、音楽の作曲費用などお金が必要なところはまだまだたくさんあり、これまでは自分で稼いだお金と、自分や仲間の時間を使って作ってきたのですが、これから先は自分たちだけの力ではなかなか進まないところまで来ているのです。

テレビ局からも資金を出してもらえる話などはあったのですが、自分にとって最初の長編作品ということもあり、できるだけ自分自身で何もかもコントロールできる形で、誰からも口を出さずに作りたい、と思いました。そういう中で、クラウドファンディングの仕組みは、自分のやろうとしていることを、共感をしてくれるたくさんの人達からの支援を得て自分の作りたい作品が作れるという最高の仕組みだと思ったのです。」

これを書いている現在、残り5日間で約60,000ドル、日本円にして600万円以上の支援が必要です。
ぜひ!山崎さんの初めての長編ドキュメンタリー作りを応援しませんか?

支援はこちらから↓
https://www.kickstarter.com/projects/1344946756/curious-george-documentary/description

日本語でのプロジェクト説明ページはこちら↓
http://curiousgeorgedocumentary.com/japanese/