こんにちは!きびだんごプロジェクトアドバイザーのみきだんごです。本日は、「社会貢献系プロジェクトのリアル」をテーマに、あるプロジェクトオーナーさんのインタビューをお届けします。

高齢者の生きがいをサポートしている馬場さんの活動は、自分たちの親の老後についてはもちろん、自分自身の生き方についても考えさせられます。もちろん、後半ではクラウドファンディングプロジェクトの裏側についてもお伺いしました。

専業主婦を経て、55歳で独立。「女性の生きる力」と「高齢者の生きがい」をサポートし続けるNPO法人花パソ代表・馬場次代さん。

京都伏見にある「NPO法人花パソ」の代表・馬場次代さんは、現在67歳。シニア向けのパソコン・スマホ&タブレット講座の開講と、その講師養成を事業として展開されています。

そして、馬場さんが資金調達に挑戦中(9/14募集終了)のクラウドファンディングプロジェクトがこちら↓
花パソが主催する「スマホ&タブレット合奏コンクール」は、楽器アプリで演奏する音楽発表会。高齢者や障害者の生きがい・やりがい作りを目的に、4年前からスタートした活動です。

40歳で派遣登録。『えらいオバハン来たな〜』と顔に出されても頑張り続け、偶然辿り着いた“独立”の道。

-専業主婦だった馬場さんが、どんなきっかけで起業されたのでしょうか?

クラウドファンディングの内容と直接関係ないけど、いいんですか(笑)
花パソは、相方の女性と2人で立ち上げたんです。彼女は広告制作会社で働いてたんですが、広告業界にもIT化の流れがきて、それについていけなくて辞めてしまいました。そんな彼女が、「パソコンが苦手な高齢者に教える立場になれば、私にもできるようになるかもしれない」と考えたのがきっかけです。

写真:馬場さんのスマホ講座の様子

一方で、私はずっと専業主婦でした。子育てが一段落したときに、パソコンの学校に通い、その後派遣社員で働きました。当時私は40歳。その頃の派遣社員といえば、20代の若い子ばっかりで。派遣会社の担当者が『なんやえらいオバハンが来たな〜』と露骨に顔に出すぐらいでしたよ(笑)それでも、自分なりに一生懸命やっていたら認められてきたんです。そして、女性も手に職があればやっていけると確信しました。

そこで、「子育てが終わった女性が社会で活躍できるように、講師として養成しよう!」と、12年前に相方と共同で花パソを立ち上げました。相方は5年前に病気で亡くなったので、代表は今私1人です。

-専業主婦、派遣社員を経て起業。とても憧れますが、なかなか真似はできません。

いやいや、本当にたまたまですよ。最初は法人化せずに、相方と2人で活動していました。それも、「こんな場所が空いてるからやってみたら」とお声がけいただいたり、ご縁があってできたことです。また、活動を続けていくうちに、大手情報機器メーカーやソフトウェア会社さんとお仕事させて頂く機会にも恵まれ、そうしたお付き合いをしていくために、NPO法人を設立しました。

-ITの分野は非常に流れが速いです。馬場さんご自身も色々努力されていると思います。

私自身も講座を受けたり、勉強はしています。すべての新しい機材・機種を購入することはできませんが、生徒さんが購入された新製品でも勉強させてもらっています。

あと、心がけているのは「時代の先を行きすぎない。ちょっと先を行く。」ということ。生徒さんの平均年齢は70歳です。高齢者の方がついてこれる速度のものを企画しています。

写真:地元メディアにも引っ張りだこの馬場さん。

高齢者に必要なのは、取り組みづくりだけでなく、発表する場を作ってあげること。

-「スマホ&タブレット合奏コンクール」開催のきっかけを教えてください。
スマホやタブレットが出始めた頃、私も仕事柄理解する必要があると思い購入しましたが、とてもカルチャーショックを受けました。

最初はゲームアプリなどを使って楽しんでいたんですが、その内に飽きてきたんです。仕事のメールや資料作成はパソコンを使っていたので、「じゃあ、タブレットで何ができるのか?」と。でも、複雑な作業は、高齢者はすぐに忘れてしまう…。そんな時、「楽器アプリ」に出会いました。

私自身ピアノも習った事がなく、楽器は全然ダメ。そこで、楽器ができるスタッフに協力してもらって、まずは3曲頑張ってみたんです。そしたら、ちゃんと形になって。自分にも、曲が演奏できたんです。

そこで、「これなら、高齢者がひきこもらず、しかもみんなで練習できる。生きがいに繋がるんじゃないか。」と。また、自己満足で終わらせるのではなく、きちんと発表の場を設けることで、練習するモチベーションを作りたいと思いました。

写真:参加グループの練習風景

-最初の発表会や交流会を含めると、今回が4回目とのこと。規模もだんだん大きくなっていますが、手応えは感じられていますか?

参加してくださる方もどんどん増えています。1回目の「発表会・交流会」は、110名。2回目は170名。3回目は「第1回 スマホ&タブレット合奏コンクール」と題して広い会場で開催し、参加者・来場者は400名まで増えました。

参加者の方が「来年もやりたい」と言ってくださったり、観覧者の方が新たに始められるなど、参加グループも増えています。また、参加グループは、福岡・東京・千葉など全国から集まっています。皆さん交通費や宿泊費は自腹です。それでも、このコンクールにやりがいを感じて、遠くからお越しくださっています。

-イベントは毎回赤字覚悟とお伺いしました。それでも続けられる理由は何でしょう?

私自身がやりたい!が一番。自分もやっていて楽しいですね。自分がやりたいかどうかはとても重要です。また、昨年コンクールをご覧になった87歳の生徒さんが今回参加されたりと、参加される方が増えていくこともモチベーションになります。でも、継続することは、本当に本当にパワーが必要ですし、大変です。

-今回は、作曲家・ボカロPの指ヨシキさんがゲストでご出演されるなど、演出にも工夫されていますよね。

出演してくださるゲストを探すために、「楽器アプリ」などのワードでネット検索していて、指ヨシキさんのことを知りました。Facebookで突然友達申請し、出演についてオファーしてみたんです。有り難いことにすぐに快諾してくださいました。

動画:指ヨシキさんの衝撃の指捌きは必見!

-いきなりの友達申請!(笑)馬場さんの行動力、見習います…。

苦戦を覚悟して挑んだクラウドファンディング。思いがけない支援が励みに。

-クラウドファンディングの挑戦に関しては、いかがでしたか?ご準備も含め、とても大変だったと思います。

京都府のコーディネータさんから、「馬場さんのようなイベント開催目的のプロジェクトは、自分が動かないと資金は集まらないですよ」と聞いていたので、クラウドファンディングが大変なことは覚悟していました。でも、資金集めよりも、色んな人に活動を知ってもらう事が一番の目的でした。

-実際プロジェクトが始まってからはいかがでしたか?

コンクールの参加者の方や、講座の生徒さん、そして花パソのスタッフなど、日頃お付き合いのある方に支援していただいて、とても励みになっています。それが一番ですね。「支援してもらったからには、がんばらなくてはいけない」と思っています。

-生徒さんなど、高齢の方にとってネットでの支援にはハードルがあったと思います。

確かに、高齢者にとってクラウドファンディングは非常にハードルが高かったですね。講座の生徒さんには、教室に設置した募金箱に現金を入れていただき、私が代理支援するケースもありました。でも、40〜50代の方の中には、クラウドファンディングのプロジェクトに支援したことがある方もたくさんいて、それは驚きましたね。


写真:花パソの教室に設置された募金箱

-最後に、今後「花パソ」や「スマホ&タブレット合奏コンクール」をどうしていきたいとお考えですか。

私ももう67歳なので、まずコンクールについては、誰かに引き継いでいきたいと思っています。続けていくことは本当にパワーが必要なので…。また、花パソについても、次世代の引き継ぎ手を探していきたいなと。でも、NPO法人というのは設立者の想いがとても強く、一般企業さんと違って、上に行けば行くほど大変になって割に合いませんから(笑)うちのスタッフも、そんな私の姿を見て後を継ぎたいとはなかなか思わないみたいです(笑)でも、やれるところまでは、やってみようと思います。

-馬場さんのような生き方は憧れますし、とても勇気をいただきました。本日はお時間いただきありがとうございました!

プロジェクト概要

馬場さんのプロジェクトは、9月14日で終了します。ぜひ駆け込み支援をお願いします!また、コンクールは誰でも無料で入場できますので、お近くの方は足を運んでみてください。

【だれもが音楽家】「第2回スマホ&タブレット合奏コンクール」を開催したい!

▽「第2回 スマホ&タブレット合奏コンクール」開催概要▽
・開催日時:2017年9月30日(土)PM1:00-PM4:30
・開催場所:龍谷大学 響都ホール 9F 大ホール(JR京都駅 八条口より徒歩約1分 アバンティ9F)
・入場料:無料(どなたでも入場可)※見学、応援大歓迎!

▽NPO法人「花パソ」公式サイト▽
http://www.hanapaso.jp