5月22日22時22分、Kibidango史上最高(2016年8月末時点)の1,849万円を集めて終了した「5階建て保護猫複合施設『ネコビル』を大阪心斎橋に作りたい! 」プロジェクト(通称「大阪ネコビル」)。

最終日の残り30分でストレッチゴール1,800万円を達成した瞬間の感動を、我々きびだんごスタッフはずっと忘れないでしょう。

しかし、「大阪ネコビル」プロジェクトの達成後、きびだんごスタッフをうならせたのは、1,800万円超という金額ではありませんでした。このプロジェクトのスゴさは、ネコリパ6回目の挑戦で達成したこの金額だけに注目していては決して見えてこないところにあったのです。

かわら版では改めてネコリパブリックについて紹介するとともに、前後編に分けて過去6回のプロジェクトを振り返ってみたいと思います。

自走型保護猫カフェ「ネコリパブリック」とは?

ネコ好きの方もそうでもない方も、日本では年に7万頭近いネコたちが行政により殺処分されているという現実をご存知でしょうか?

殺処分されるネコの約2割までは、悲しいことに飼い主自身の手で保健所に持ち込まれます。それ以外は飼い主不明のネコですが、殺処分されるネコの6割が子猫であるという事実から、野良猫たちに避妊と去勢を施して地域に戻す、というような対処により数値は大きく改善できると考えられています。

殺処分数は近年減少の傾向にあり、前年度まで3年連続殺処分ゼロを達成した神奈川県のような自治体もあるものの、全国合計では平成25年度は99,671頭、平成26年度は79,745頭、平成27年度は67,091頭と、依然としてたくさんの小さな命が失われています(環境省発表「(参考)平成16~27年度の犬・猫の引取り状況」より)。

過去6回のクラウドファンディングをきびだんごで成功させた「ネコリパブリック」(通称「ネコリパ」)は、2022年2月22日(ニャンニャンニャン、ニャンニャンニャンの日)までにネコの殺処分をゼロにすることをミッションに掲げた自走型の保護猫カフェです。

ネコリパが「自走」できるシステム

ネコリパが「自走」するためのシステム

「ネコリパブリック」とは読んで字の通り「ネコの共和国」のこと。人間よりネコの方が偉いこの国への「入国」を希望するニンゲンは、かならず「共和国憲法」を熟読し、「遵守」を誓うサインをしなければなりません。「ネコの国の平和を決して乱しません」と誓ったニンゲンだけが、入国を許可されるのです。

猫共和国に入国するためには、いくつかの手続を踏みパスポートを得る必要があります。

猫共和国に入国するためには、いくつかの手続を踏みパスポートを得る必要があります。

さらにネコリパには、入国回数に応じて爵位が上がるユニークなシステムがあります。いわゆるポイントカードシステムなのですが、「入国回数」とか「爵位」とか言われると、ついつい「陞爵」(注: 功績により爵位が上がること)を目指してカフェに通いたくなってしまいます。

つい「陞爵」を目指したくなる爵位システム

つい「陞爵」を目指したくなる爵位システム

「ネコの共和国」というコンセプトから生まれる面白さを活かしながら、「年間7万頭ものネコが殺処分されている」という社会課題に敢然と立ち向かい、さらには寄付や補助金に頼らない持続可能な経営をしている点で、ネコリパは他の猫カフェとは一線も二線も画する唯一無二の存在です。2014年2月の創業以来、多くのネコ好きをファンにし、多くのネコを殺処分から救い、そして殺処分される小さい命がまだまだたくさんあるのだ、ということをさまざまな方法で社会に伝え続けています。

「ネコリパ」プロジェクト第1回、第2回、番外編の振り返り

第1回「ネコ市ネコ座『ネコ祭り』」プロジェクト

ネコリパ第1のクラウドファンディングは、ネコ映画祭を開催するためのものでした。

ネコリパ第1のクラウドファンディングは、ネコ映画祭を開催するためのものでした。

ネコリパが最初のクラウドファンディングに挑戦したのは今からおよそ2年前。2014年の8月~9月に開催された「保護猫カフェ『ネコリパブリック』のチャレンジ!ネコ市ネコ座『ネコ祭り』プロジェクト」でした。

このプロジェクトのゴールは、アメリカで1万人以上を集めた伝説のネコ映画祭「Internet Cat Video Festival」の岐阜での開催。

ネコリパがはじめて挑戦したクラウドファンディング「ネコ祭り」プロジェクトでは、目標金額の100万円を8日目に達成。その後、新たに設定したストレッチゴール222万円も達成し、最終的には254人の支援者から2,386,000円を集め、9月14日に終了しました。

ちなみに、「ネコ祭り」プロジェクトのストレッチゴールは「支援者様限定 アフターパーティー『偽善者の集い』」の開催でした。

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第2回「『さくら猫』を広めるために京都で猫祭りを開催したい!」プロジェクト

この写真の子の左耳のように耳に切れ込みが入った猫が「さくら猫」です。

この写真の子の左耳のように耳に切れ込みが入った猫が「さくら猫」です。

ネコリパ第2のクラウドファンディングとして2015年2月~3月に開催されたのは「野良猫を『さくら猫』にして殺処分ゼロに!その第一歩『さくら猫』を広めるために京都で猫祭りを開催したい!」でした。

さくら猫とは、野良猫を減らすために行われる「TNR」の一環として去勢または避妊手術を施されたネコのこと。彼らの耳は「この子たちは去勢(避妊)済みですよ」という目印として、ちょうど桜の花びらのように見える切り込みが入ります。

「なんで耳を切るの?」「去勢や避妊が本当に必要なの?」等と感じた方は、こちらのページの「さくら猫ってなに?」の項以下をお読みください。

殺処分を減らすTNR活動の最後のRの部分で耳をカットされたネコが「さくら猫」です。

殺処分を減らすTNR活動の最後のRの部分で耳をカットされたネコが「さくら猫」です。

ネコリパではまだまだ知られていないさくら猫をもっと多くの人に知ってもらうために、第2のクラウドファンディングを企画しました。

第2のクラウドファンディングでは、目標金額の100万円を30日目に達成。その後、ストレッチゴール222万円も達成し、最終的には362人の支援者から¥2,429,250を集めて2015年5月16日に終了しました。

ちなみに、「さくら猫」プロジェクトのストレッチゴールは、京都以外でもさくら猫について知ってもらうべく、さくら猫祭りのアフターパーティーを東京、大阪、岐阜、福岡、福島でも開催します、というものでした。

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余談ですがこちらの「さくら猫」プロジェクト、終了直前に集中して支援が集まったためにきびだんごのサーバーがダウンする、というアクシデントがありました。「支援が集まり過ぎてサーバーが落ちた」プロジェクトは、後にも先にも「さくら猫」だけです。(※ 現在ではサーバーダウンが起きないようシステム増強済みです。)

ネコリパ伝説の1ページでもあるサーバーダウン

ネコリパ伝説の1ページでもあるサーバーダウン

【番外編】「『猫もぐらたたき』で日本の猫を幸せにしたい!」プロジェクト

猫もヒトも楽しく遊ぶことで殺処分ゼロに寄与するのが「猫もぐら叩き」のミッション。

猫もヒトも楽しく遊ぶことで殺処分ゼロに寄与するのが「猫もぐら叩き」のミッション。

ネコリパが関わった3つ目のクラウドファンディングとして2015年3月〜5月にかけて開催されたのは「猫が0.2秒で虜になる玩具「猫もぐらたたき」で日本の猫を幸せにしたい!」でした。

(注: プロジェクトオーナーは「公益社団法人 アニマル・ドネーション 」さまですが、ネコリパが大きな役割を果たしたプロジェクトということで、【番外編】として紹介いたします。)

このプロジェクトは「ネコが狂喜する猫もぐら叩きの販売を通して猫の殺処分をゼロにする」という、自走型を自認し、「ネコも人間も楽しみながらネコ助けができる」というネコリパの理念を体現したようなプロジェクトでした。

このプロジェクトは保護猫カフェ ネコリパブリックのそれまでの活動を軸にしながら、公益社団法人アニマル・ドネーションさまがプロジェクトオーナーとなり、ブランド買取サイト「Brandear(ブランディア)」、一般社団法人「& PETS」、一般社団法人ペットフード協会、そしてネコリパブリックの5団体が「猫もぐら実行委員会」を結成して実施されました。

このクラウドファンディングでは、目標金額の50万円を16日目に達成。その後、ストレッチゴール122万円も発表しましたが、こちらは残念ながら達成ならず…。最終的には221人の支援者から¥1,108,000を集めて2015年5月16日に終了しました。

「猫もぐら叩き」プロジェクトのストレッチゴールは「出血しても気にならない情熱の赤い手袋」を作ることでした。これ作って欲しかった!

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「ネコリパ」特集の第1回では第1と第2のネコリパプロジェクト、そして番外編として猫もぐらたたきプロジェクトを振り返ってみました。それぞれの回でネコリパに支援した皆さまにとっては「懐かしい!」と感じられるエピソードもあったのではないでしょうか?そして、こちらの記事ではじめてネコリパを知った皆さまは、どのようにお感じになりましたか?

次回第2回では、ネコリパ第3〜第5のプロジェクトを振り返ります。