皆さん、こんにちわ。
みずだんごです。

クラウドファンディングの始原について語られる際、モーツァルトやベートーヴェンが貴族のパトロンだけではなく、市民からも創作資金を集め、その見返りに曲や楽譜を送っていたエピソードがよく登場します。

現代においては、ミュージシャンがアルバム制作やツアーにかかる資金をインターネットで(つまりはクラウドファンディングで)集め、支援してくれたファンにアルバム音源やツアーチケットを送ることが日常になりつつあります。

少し古い話になりますが、2014年末から2015年上旬にかけて、団の存続をかけてクラウドファンディングに挑戦したオーケストラがいました。

まずはこちらの動画をどうぞ。

冒頭に登場する2人の男性のうち、左の男性はこのオケのコンサートマスター(第1バイオリン)、そしてこの後に指揮者としてタクトも振る右の男性はデンマークのトウガラシ愛好家チリ・クラウスさん。

こちらの演奏を行っているのはデンマーク国立室内管弦楽団。れっきとしたデンマークの国立オーケストラでしたが、2014年にオーナーであったデンマーク放送の意向により楽団員全員解雇の決定が下されます。国民からは大きな批判が巻き起こり、存続を願う国会決議まで出されますが、結局はこの決定は覆りません。しかし、「全員解雇まであと1週間」と迫った2014年12月23日、オーケストラ自身が起ち上がり、300万クローネ(日本円でおよそ4,650万円)を目標にしたプロジェクトをKickstarterでスタートさせます。

Kickstarterのプロジェクトページ(Folkegaven: Underholdningsorkestret)

上のトウガラシ動画もページの中のUpdate(きびだんごでいう「活動報告」)で活用されています。

KickstarterのUpdateページ(Spicy update – a unique European Orchestra)

「失敗したら全員解雇」というヒリヒリする状況でスタートしたこのプロジェクト。2,192人のバッカーから100万クローネ(日本円で約1,550万円)以上を集めながら、プラットフォーム側の諸事情もあり残念ながら未達に終わってしまいました。

しかし! それでもへこたれなかった楽団員たち。今度はPaypalアカウントを持っている人なら誰でも寄付できるクラウドファンディングサイトを独自に起ち上げ、活動費を集めることに。もともと国内にたくさんファンがいたオーケストラのこと。トウガラシ動画が世界中でバズったことも功を奏し、全員がフルタイムで活動するには足りないものの、演奏会ごとに活動する私立のプロジェクトオーケストラとして活動を再開することができました。

その後約1年は前述のクラウドファンディングで糊口を凌いでいた新生デンマーク室内管ですが、今年2月、デンマーク国内の3つの基金の支援を受けて2018年まではプロジェクトオーケストラとして活動することが正式発表されています。

(オーケストラの公式ページより)The Danish Chamber Orchestra is Saved

【3分クラウドファンディング道場の今日の教え】

・成功するまで続ければ失敗などない!
・話題作りのためには犠牲を厭わない姿勢がファンを呼ぶ!

ファンを喜ばせるためなら世界一辛いトウガラシを口に放り込むことも厭わず、しかも泣いたり悶絶したりしながらら堂々と最後まで演奏しきった、プロ根性の塊のようなオーケストラ。どうか今度も世界中の人々からの資金援助を受けて活動を続けて欲しいものですね。