1本3,000円という“ちょっといいお値段”なアルコール度数14%のビール、その名も「バーレーワイン」。通常のビールが1カ月で完成する所、「バーレーワイン」は最低でも半年間の熟成期間が必要な手間もひまもかかるビール。その分、味はもちろん格別! その芳醇で華やかな香りとなめらかな飲み心地は多くの人を魅了し、世界最高のビールとも呼ばれています。
そんな「バーレーワイン」を継続して造り続けるためにクラウドファンディングに挑戦したのが、「世の中の人々に喜んで貰えるお酒造り」をミッションとしている『世嬉の一酒造』四代目の佐藤 航(わたる)さん。目標金額に掲げた50万円は、なんとプロジェクト開始初日で達成! その成功の秘訣について話をうかがいました。
想像以上に効果を発揮したプロジェクト開始前の「種まき」
佐藤さん:
「まさかプロジェクト初日で目標を達成するなんて、思ってもいませんでした。ただ、終わってみて思うことは、きびだんごさんに色々アドバイスをいただいて取り組んだ「事前の準備」が効果的だったんじゃないかなと思っています。」
佐藤さん:
「僕らの想いを伝える手段として動画のメッセージを作った方が良いとか、出来る限り色んな所で事前告知を行った方が良いとか、それに加えてきびだんごさんのサイト内にある「プロジェクトの種」でも紹介していただいたり。それらのアドバイスを受けて、プロジェクト開始前から「活動報告」内に記事をアップしたり、自社のブログやSNSでクラウドファンディングに挑戦することを告知したり、仕事で会う人に口頭で伝えたりする等、地道に種まき活動を行っていました。」
「世の中に普通にない商品」だからこそ、動画でのPR効果が絶大だった
佐藤さん:
「僕らが造っている「バーレーワイン」っていうビールは、世の中には普通に流通していない商品。だから、文章で説明してもなかなかイメージがつかないと思うんですよね。「バーレーワインというアルコール度数14%の、酒税法上でいうとビールなんですけど実際はビールとは全違うようなワインのようなビールです」って文字で言われても、頭の中が「?」になりますよね(笑)。」
佐藤さん:
「だからこそ、僕らの活動を理解していただくためのツールとして「動画」はとても効果的だったと思ってます。ビジュアルを用いて伝えることで「何を、どんな想いで作っているか」ということをスムーズに理解して貰えるので、共感までのプロセスを短縮することができたんじゃないかと思うんです。多分、最初から文章を細かく読んでくださる方ってあまりいないと思うんですよね(笑)。動画PRがフックになって興味を抱いてもらって、詳細の説明を読んでくださる…っていう流れだったんじゃないかなと思います。」
ところが佐藤さん、動画制作に関してはそこまで知識があった訳でもないそうで…。
佐藤さん:
「実は初め、動画PRっていうものに全くピンとこなかったんです(笑)。どんな風に作ったら良いのか考えもつかなかったですし、どんな効果があるのかもあまり良く分かっていませんでした。それをきびだんごさんに相談した所、作り方から構成、盛り込んだ方が良い内容、制作スタッフさんまで全てにおいてアドバイスをくださって。本当に色々と助けていただきました。」
活動への「理解」と「共感」を得るためにはサポーターの皆さんの「?」を徹底的に潰す
支援を募る活動への「理解」と「共感」を得るために肝となるがプロジェクトの紹介。そこで佐藤さんが工夫したことはサポーターとなりうる皆さんの「?」を徹底的に潰すことでした。
佐藤さん:
「僕は「自分が造っているものは絶対に良いものだ」という信念の基、朝から晩まで商品のことばかり考えて生活をしているので、ついつい、お客様も僕と同じレベルで商品のことを理解していると思ってしまう所があるんですよね。でも実際に商品に関してきびだんごさんに説明した所、想像以上に伝わらないことだらけだったんです(笑)。」
佐藤さん:
「きびだんごさんから「味はどんな感じなんですか?」とか、「バーレーワインは普通のビールと何が違うんですか?」とか、「バーレーワイン造りで特にこだわっている所って何なんですか?」などの質問をされた時、僕にとっては「普通」に理解できていたことを疑問に思うというその視点が新鮮でした。
さらには、僕らが普段何気なく使っている言葉が専門用語や業界用語だったってことも指摘されて改めて気づいたり。なので、プロジェクト紹介について考える際には、きびだんごさんが抱いたような「?」を徹底的にクリアにすることを意識して、なるべく最短距離で理解と共感を得ることができるような構成にすることを意識しました。」
こうしてきびだんごと二人三脚で造り上げた動画PRとプロジェクト紹介文。実はこの作成したツール、クラウドファンディング以外の場所でも効果を発揮したとのことです!
サポーターへのPRのつもりが、思わぬ所にまで派生した「きびだんごツール」
佐藤さん:
「きびだんごさんのサイト用に作成した動画は、会社のPRとしてもとても重宝しました。Facebook上に動画を投稿すると想像以上に沢山の方が拡散してくださったり、自社のHPに掲載すると、それを見たバイヤーさんから問い合わせが入って新しい取引が始まるということもありました。そしてプロジェクトが終了した今でも、きびだんごさんのサイトを見たという方からバーレーワインの問い合わせをいただく事もあります。
結構悩んで、時間をかけてプロジェクトの紹介ツールを作った分、それらを会社のプレスリリース資料としても活用させていただきました。実は今まで、自社の広報活動をどう展開していったら良いのかが良く分からなかったんです。それが、クラウドファンディングを活用することで「どんなPRが効果的なのか」についても学べる機会にもなり、今では新しい商品ができたタイミングでリリースを作成して配信するなど、積極的に広報活動も行うようになりました。」
今後は「小さな挑戦」を常に繰り返しながらファンを増やすことが目標
佐藤さん:
「今回のバーレーワインプロジェクトは1年がかりの大プロジェクトだったんですが、通常僕らが造っているビールは1カ月で完成させることができるんです。なので今後は「小さな挑戦」をなるべく多く繰り返していきたいと思っています。
小さい挑戦の繰り返しは、お客様への理解も同時に深めていくことができるんです。マーケティングと商品開発を同時に行うイメージですね。クラウドファンディングでサポーターの皆さんが出資をしてくださるのは、「その商品を買いたい」っていう欲求と近いと思うんですよね。それは即ち、バイヤーさんにも「買いたい」と思ってもらえるかどうかの指標にもなるということ。なので、クラウドファンディグでの成功は、市場拡大への道にもつながると思っています。」
クラウドファンディングを活用したことで、工場まで足を運んでくださる方がいたり、各地のイベント事などでサポーターさんから声をかけてもらう機会が増えたという佐藤さん。今までは遠い存在だと思っていたお客様を身近に感じられるようになったことも、クラウドファンディングの活用を通して得ることができた体験とのことです。
佐藤さん:
「僕らの工場がある岩手って、お客様からすると遠い存在だと思ってたんです。それがクラウドファンディングでの活動を通して、意外とそうでもないぞと思えるようになりました(笑)。それに「ほぼリスクゼロ」で新たな商品開発に挑戦することができるきびだんごさんのクラウドファンディングは、とてもありがたい仕組み。今後も上手く活用して、『世嬉の一酒造』が掲げている「世の中の人々に喜んで貰えるお酒造り」を追求していきたいと思います。」
佐藤さん、クラウドファンディングの貴重な体験談をお聞かせいただき、ありがとうございました!
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